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【高卒就職】9月16日の採用試験開始に向けて最善の準備を進めよう(キャリア&就職支援ジャーナル28・29号より)
7 月1日に求人票が公開されたのを皮切りに、9 月5日から出願書類提出、9月16日以降には採用試験が開始され、高卒採用もいよいよ本格的に動き始める時期に差し迫っている。
ここでは、本格化する企業の採用選考に備えて、特に重要な面接試験に向けた対策等を紹介する。
事前の準備が夢実現への近道 夏季休業を有効活用する
求人票が7月1日に公開されると、「22 新卒予定者」の就職活動はいよいよ本格的に動き出す。高校の進路指導部宛てに各企業から送られてきた、あるいは人事・採用担当者などが直接持参した求人票や会社案内書などを見て、生徒は就職指導担当教員と共に志望企業を選定していく。企業を選定する前の「業界研究」や「企業研究」を進める際に、求人票は欠かすことができない。複数の企業の求人票を見比べて、仕事の内容や採用条件、会社の特徴などについて研究を進める必要がある。企業を絞り込む際に重要となるのが、就職企業に求める生徒の優先順位だ。希望をすべて満たす企業があればベストだが、それはおそらく現実的ではない。「仕事の内容」「雇用形態」「職種」「賃金等」「就業場所」「通勤時間」「就業時間」「休日等」など、"譲れない条件(優先順位が高い)" と"できればかなって欲しい条件(優先順位が低い)" を念頭に置いて、求人票を見るように指導しておきたい。
ミスマッチを起こさないために判断軸を持つようにする
生徒の条件におおむね合致する企業を見つけることができたら、次は会社見学(応募前職場見学)へと移行する。生徒視点において、会社がどこにあって、自宅からどれくらいの時間がかかるのか、その周囲はどのような環境で、またどのような人たちが働いているのか、そうした会社全体の雰囲気は自分にとってどうなのかなど、自分の目で実際に見ることで、就職に向けた心構えがより具体性を帯びてくるだろう。求人票や会社案内書では知ることのできない鮮度が高いさまざまな情報も得ることができるはずだ。また、会社見学では、「自分が会社を見学する」のと同時に、「会社側も自分を見ている」ということを忘れてはならない。服装や言葉づかい、マナーなどには特に気をつけて臨む必要がある。一般的な流れとしては、夏季休業期間中に見学が行われることが多くなっている。
求人票が第一級の研究用資料であるのは確かだが、そこから得られる情報だけでは十分ではない可能性がある。とはいえ、玉石混淆や真贋が隣り合わせのインターネット上の情報では、そのような具体的な雰囲気について知ることは難しい。実際の雰囲気を知るために活用したいのが、インターンシップだ。
机上の会社研究だけでは分からない実際の業務内容や社会人が働く職場の雰囲気などを実際の職場で体感することができる。入社後の姿をイメージしながら取り組むことで、自分の職業適性や将来設計を考える機会になるだけではなく、さまざまな世代の人たちとのコミュニケーション能力の向上も少なからず期待できる。
ここまで見てきて分かる通り、志望企業を選定するに際して重要なポイントとなるのは、事前に十分な情報を集めておくことだ。指導教員も就職志望生徒も多様な視点に立って具体的な情報を可能な限り目一杯得るように努め、共有する。そして、そこからさらに視野を広げ情報を絞り込み、比較・検討をする際の材料を増やすことによって効用感のある進路実現につなげることができるだろう。
自分の魅力をアピールする第一印象は身だしなみから
本格的に就職試験へ向けた準備や対策を進めていく上で避けては通れないのが、「面接試験」に対する構えだろう。企業は面接試験を通して、志望者の適性や人間性、協調性を判断し、自社が期待する人材像に近い人物かどうかを総合的に評価する。志望者側は面接の場で、入社に対する意志や熱意を直接、面接官等に伝えることが必要だ。
限られた時間内で志望者の適性等を判断していくため、面接試験では第一印象が重要となる。まず大切なのは、身だしなみを整えることだ。仮に、熱意や前向きな姿勢を持っていても、服装や髪形が乱れていては第一印象が悪くなってしまいかねず、気持ちが伝わらないばかりか全体的にマイナスな印象を与えかねない。まずは面接官に良い第一印象を与えることを考えてみよう。
面接では、「生徒自身について」「高校生活での出来事」「学校外の活動」「進路について」「一般教養」など、さまざまな質問を投げかけられる。そのため、面接官から尋ねられた質問の意図を汲み取り、自分の考えを分かりやすく伝えることが大切だ。緊張しやすい場面ではあるが、相手に伝わりやすいよう、落ちついてハキハキとした受け答えを心がけたい。実際の質問では、「なぜ、その会社を志望するのか」といった具体的な志望動機はほぼ確実に聞かれるだろう。明確に返答できるように事前にをしておこう。
志望動機と共に、入社後取り組みたいことなどを答えられるようにしておくことで、入社に対する強い意志をアピールできる可能性が高まるはずだ。
また、志望者自身のパーソナリティーに関する質問も想定される。自分の性格を客観的に理解しておき、スムーズな自己ピーアールを心がけたい。例えば、高校時代における自分の能力が大きく発揮された体験談や真剣に打ち込んだエピソードなどを具体的に伝えられるように、シミュレーションしておこう。自分の短所も理解し、それを改善するために努力していることを合わせて伝えることができればなおベターだろう。
9月16日以降には、就職を目指す多くの生徒が一社目の採用試験を受けることになるだろう。見事合格できるに越したことはないが、万が一、不採用であったとしても、10月以降から二次募集が開始されるため、必要以上に焦らないように気をつけたい。
しかし、近年は一次募集で採用を充足する企業が増えており、二次募集を行う企業は相対的に減少傾向にあるようだ。そのため、二次募集があるからといって油断はせずに、一社目で内定を得る気持ちで挑むことが重要となるだろう。