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職場見学について<企業にとっての「職場見学」>

 

多摩地区高等学校進路指導協議会事務局 参与/キャリア教育支援協議会 顧問 小林 英明

 

今回は企業側の『職場見学』ついて触れたい。

高卒求人の経験が少ない企業には、文字通りの「見学」でないと求人票は「見学否」になる、とお考えの方がいらっしゃるようだ。
しかし衛生面や保安面等の事情で、社内・工場内・店舗内に外部の者を入れられない場合には見学を含まない「説明会」でも求人票では「見学可」として全く問題ない。

さて、その見学会であるが担当者の方々の努力で、さまざまな工夫を凝らしたプログラムが増えているようだ。
業務体験や研修体験、ベテラン社員の実演や若手社員の体験談、高校生を交えて懇談会等々、企業と仕事に理解を求める気持ちが伝わる内容だ。
かつてある飲食チェーン店の見学に参加した生徒が、よくある「説明と試食」ではない『研修キッチンでの調理体験』に「やる気」を刺激されて応募を決めたことがあった。

しかし、各企業が工夫を凝らして作り上げた見学会や説明会の内容は、参加をしなければ生徒には伝わらない。
「当社の見学会はこのような内容です」
というアピールで見学会への参加を誘う企業はまだ少数である。
ここがさまざまな工夫で生徒にオープンキャンパス参加を呼びかける大学や専門学校との大きな違いである。

私の現役時代の終盤になって、いくつかの企業から求人票や企業案内と同時に見学会の内容を示したリーフレットが届くようになったが、あまり増えてはいないようだ。
現状では学校の指導の影響もあるが、求人票やパンフレットで企業に興味を持ち、応募を半ば決心した生徒が見学を申し込むことが多い。
見学会そのものに興味を持たせることができれば、見学者の増加が期待できる。
アピール次第で同業他社や関連産業に興味を持つ生徒を自社の見学会に勧誘できるかもしれない。
これは決して企業同士の潰し合いではない。
応募前に比較し、理解を深めることによって、ミスマッチや早期離職防止につながるはずである。

【プロフィール】
1976年より都立高校教員。
2004年より都立拝島高校勤務、
2010年より進路指導主任として主に就職指導に当たる。
2019年3月定年退職。