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【高卒就職】令和4年3月卒 高校生の就活スケジュール、例年通りに回帰(キャリア&就職支援ジャーナル23号より)

応募書類提出開始は9月5日  選考・採用内定開始は9月16日

厚生労働省は2月8日、「令和4年3月新規高等学校卒業者の就職に係る採用選考期日等について」を公表した。発表によれば、令和4年3月に、新しく高校を卒業する予定の就職志望生徒等に対する採用選考期日等は、「ハローワークによる求人申込書の受付開始」が6月1日、「企業による学校への求人申込及び学校訪問開始」が7月1日、「学校から企業への生徒の応募書類提出開始」が9月5日(沖縄県は8月30日)、そして「企業による選考開始及び採用内定開始」が9月16日からになることが明らかとなった。これは、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う社会的混乱が生じる以前と同じ日程だ。

高校生の就職活動に関しては、採用の早期化を防いで教育の充実を図ることを目的に、厚生労働省と文部科学省、さらには全国高等学校長協会(本部東京・港区)、日本経済団体連合会(経団連、本部東京・千代田区)、日本商工会議所(本部東京・千代田区)、全国中小企業団体中央会(本部東京・中央区)が毎年選考日程を協議し、あらかじめ統一している。2月8日に令和4年3月高校新卒者の就職活動スケジュールを話し合う「高等学校就職問題検討会議」が開催され、スケジュールが確定した。
令和2年1月に国内で初めて新型コロナウイルス感染症の患者が確認されて以降、急激に感染者数が増加し、春先には当時の安倍晋三前内閣総理大臣が3月2日から全国の小・中・高等学校および特別支援学校に対して臨時休校を要請するなど、多くの学校で学業と共に、進学指導・就職指導が遅れることとなった。そのため、例年通りのスケジュールでは就職志望生徒の準備期間が不足するとの懸念から、令和3 年3 月の新卒予定者の就職活動に関しては企業等への応募書類の提出開始が10月5日(沖縄県は9月30 日)、選考・採用内定開始が10月16日以降と、1 カ月間後ろ倒しになっていた。
なお、高校生の就職活動が従来通りのスケジュールに戻ることを受けて、厚生労働省は近日中に各都道府県教育委員会や経団連をはじめとする主要経済団体などに通知を出す予定だという。具体的には新型コロナウイルス感染症の感染防止対策としてオンラインによる職場見学や採用選考活動を実施する場合は、日程やネット環境などの面で生徒や学校にとって過度な負担にならないようにすることや、個々の事情に配慮するよう企業側に新たに要請していく段取りだ。

令和3年3月卒の就職活動状況求人数・就職希望者とも大幅に減少

令和2年度の高校新卒予定就職志望者の就職活動は、一体どのようになっているのか。
基本的に自由競争となる大学生・短期大学生の就職活動とは異なり、地元産業界とのパイプや就職指導担当教員との連携に基づいて進められる高校生の就職活動ならびに就職環境は、高校や地域によって大きく異なることが珍しくない。令和3 年4 月入社予定生徒を取り巻く就職環境に関して、「例年よりも求人数が大幅に下回った」「特に大きな混乱はなかった」「指導が十分にできなかった」「4 月から特に滞りなく進めることができた」など、新型コロナ禍による外的要因は、もちろん共通して大きいが、指導教員の構えやオンライン型への環境整備などの違いや格差によって個別高校間には著しくバラツキが生じた印象がある。
厚生労働省が昨年12月8日に発表した「令和2 年度『高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況』」
によると、令和2年10月末現在の高校生の就職内定率は64.2% で、前年同期比で0.2㌽上昇したことが明らかになった。
しかしながら、求人数は20.7% 減の36 万9,677人、求職者数は10.1%減の15万2,402人、就職内定者数は9.9%減の9万7,810人、そして求人倍率は0.32ポイント低下の2.43 倍という結果だった。
状況を見る限り、恐らくは新型コロナウイルス感染症の影響によって、企業等の求人数が大きく減少したことから、元来は就職希望であっても令和2年度の就職活動自体を再考し、進学などほかの進路を選んだ可能性も考えられそうだ。
なお、産業別の求人状況を見てみると、「電気・ガス・熱供給・水道業」が2,076人で、前年からの求人数が48人増加に転じたものの、それ以外はすべての産業で求人数が減少した。特に減少数が大きかったのは「製造業」の10万5,355人で、前年から3万7,284 人も減少。また、「卸売業、小売業」は4 万6,589人で同1 万3,053人減と、これらの産業は特に大きな打撃を受けたと言えそうだ。

成長業界や新サービス企業に注目 オンライン活用の採用試験に視点

卒業後は就職を希望している生徒のみなさんは、令和3年度の就職活動スケジュールを理解した上で、早めに自己分析や企業研究を進めていく必要がある。徹底したオンライン対策も重要だ。
特に現在は、大手・有名企業であったとしても、業績の悪化により採用試験を見送ったり、希望退職社員を募集したりするなど、状
況がいつ悪化しないとも限らない。その意味では、今後市場を伸ばしていきそうな業界や企業に注目していくことも大切なことの一つ
に違いない。

(記事:キャリア教育&就職支援ジャーナル23号)