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【高校生の就職調査 シリーズ④】<会社選び>1年生からはじまる企業の研究(キャリア&就職支援ジャーナル31号より)

 進路情報研究センター・ライセンスアカデミーは9月、全国の高等学校進路指導部のべ5,049 校(全日制・定時制・通信制、一部サポート校含む)を対象に「新規高卒就職に関するアンケート調査」を実施した。今号では、教員の視点から見た「一人一社制」、高校新卒就職者の「早期離職問題」など、就職指導現場の実態に迫る調査の結果内容を詳報する。

高校生の就職調査 シリーズはこちらから
【高校生の就職調査 シリーズ①】<一人一社制>8割の教員が支持する理由(キャリア&就職支援ジャーナル31号より)
【高校生の就職調査 シリーズ②】<就職指導> 1年生からの目標設定(キャリア&就職支援ジャーナル31号より)
【高校生の就職調査 シリーズ③】<進路行事>高校で開かれるイベントに信頼感(キャリア&就職支援ジャーナル31号より)
【高校生の就職調査 シリーズ④】<会社選び>1年生からはじまる企業の研究(キャリア&就職支援ジャーナル31号より)
【高校生の就職調査 シリーズ⑤】<教員の声>高校が高卒採用企業に求めること(キャリア&就職支援ジャーナル31号より)
【高校生の就職調査 シリーズ⑥】<職場見学>7月中旬から始まる比較検討(キャリア&就職支援ジャーナル31号より)
【高校生の就職調査 シリーズ⑦】<早期離職>情報不足が与える影響(キャリア&就職支援ジャーナル31号より)

企業研究

"夢"の実現に向けた事前準備 外部機関と連携で入念な対策

「生徒の企業研究(企業比較・応募先の絞り込み)は十分にできていますか」の質問に対して最も多かった回答は「おおむねできている」で46.4%だった。以下、「やや不足している」23.7%、「どちらでもない」19.7%、「不足している」7.4%と続き、「十分にできている」はわずか2.9%に過ぎなかった(図4)。

企業研究は、自分自身の条件に合った企業や適性に合った職種を見極めることにもつながる。その視点で考えると、「おおむね」を含め「できている」と回答したのは半数にも満たない49.3%と、少なからず残念な結果に沈んだ。

「やや不足している」「不足している」の理由を見ると、「求人票公開から見学申し込みまでの期間が短い」「職場見学のできる時間が短い」など、時間が足りていないとのコメントが多く寄せられた。
さらに、「情報不足、機会不足から絞り込みに時間がかかる」「就職に対する意識が低い」などが挙げられている。そもそもが、企業研究に着手できる段階には至っていないということなのだろう。

就職活動をする当事者である生徒の意識が十分に高まっておらず、就職準備を先延ばしにしてしまったり、意欲的・主体的な取り組みがいま一つであったりということが"就職情報の不足" につながり、結果として応募に当たり複数の企業を比較・検討する"時間不足" になっていると考えられそうだ。

一方、「学校行事が多く落ち着いた時間が取りにくい」「指導の時間が十分に取れていない」など、学校側の就職指導のスケジュールや手段に何らかの課題があるのではないかという趣旨の分析をする教員も一定数いた。

また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響を受け、「2年次のインターンシップや3年次の企業見学が実施できなかった」と、就職情報を収集する機会が少ないという意見も散見され、教員と生徒の意識だけで解決することが難しい社会的な課題が横たわっていることも事実だろう。

「十分にできている」「おおむねできている」と回答した教員のコメントを見てみよう。
「1 年生の時から、進路ガイダンスに積極的に取り組んでいるため」「複数企業の応募前見学をさせているので、比較研究をしやすいため」など、早期段階からの就職指導がなされ、志望先企業の選定に際して、比較・検討の材料となるさまざまな情報を得る機会を増やすために職場見学を積極的に活用している学校が見受けられた。
また、「地元企業を招いての説明会や応募前の見学を実施し、ある程度企業のことを理解している」というように、企業との協力により"働く"ということを身近に感じさせるような取り組みを推進している学校では、総じて「生徒の企業研究」が好ましい形で進んでいるようだ。ほかにも、「キャリアガイダンススタッフに来てもらい、適宜指導が行えている」「外部講師を招いて複数回指導をした」と、就職指導に関する専門家や企業現場を熟知している識者などを擁する外部機関等との連携体制を整えている学校も少なくない。
「できている」と回答した高校は、外部との連携をしている傾向があることが分かった。企業や就職アドバイザーとの連携によって、さらに充実した就職指導や職業観の育成を図ることができているということなのだろう。