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【高校生の就職指導】「面接試験の練習計画」
多摩地区高等学校進路指導協議会事務局 参与/キャリア教育支援協議会 顧問 小林 英明
各企業の選考試験は多種多様だが、必ず課せられるものが面接である。
各社の採用担当の方々からは、「選考は人柄重視、その人柄を見るのが面接」というお話しを聞くことも多く、高校では面接指導に力が入る。
私が勤務していた学校には、前任者の時代から就職面接指導には約6か月にわたる指導計画のようなものがあった。
まず、就職指導プログラム開始の2年生2月の指導会で、面接指導の布石を打つ。
家族や教員以外の大人とはほとんど会話をしていない高校生に意識して、大人との会話をさせることだ。
面接試験は試験以前に、まず大人との会話を成立させなければ始まらない。
これには教員の多くが協力した。
就職指導プログラムの中では、5月早々に「面接マナー」の指導に入る。
ここでは学校標準の入退室動作を徹底指導する。
6月にかけては、進路指導部と学年で入退室に特化した「模擬面接指導」もした。
準備の早い学年は、前年度末の学年進路ガイダンスに外部講師の面接指導を入れることがある。
ガイダンスについては、学年と業者から常に進路指導部に「報・連・相」がある。
面接指導実施の場合は、入退室動作の学校標準を提示して、それ沿った指導を求めた。
入退室動作に絶対的な正解などはない。では、なぜ学校標準を徹底したのか。
それはその後の期間を、「本来の」面接指導に集中するためである。
ドアを開けて「失礼します」でも、入室してドアを閉めてから「失礼します」でも大きな問題はない。
しかし、指導者によって異なっていたり、「どちらでも良い」などと言ったりしては生徒が混乱する。
生徒ごとに異なる動作では指導するほうもやりにくい。
応募先未定でもできる入退室動作は、早めに準備をしておけば
7月からは学校生活や自己に関わる回答の組み立てに集中できる。
応募先が決まれば、今度は志望動機や将来のキャリア設計に関して考える。
8月からの面接練習では、限られた時間を入退室や服装の指導に費やすことなく内容の指導に集中できることが大切なのだ。
【プロフィール】
1976年より都立高校教員。
2004年より都立拝島高校勤務、
2010年より進路指導主任として主に就職指導に当たる。
2019年3月定年退職。