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高卒採用

数字で見る高卒採用の現状

高等学校新卒者の就職状況

  • ■令和3年3月卒の就職状況

    ■令和3年3月卒の就職状況

  • ■令和2年3月卒の就職状況

    ■令和2年3月卒の就職状況

高校生の就職希望者は減少しましたが、内定率は97.9%(昨年98.1%)と0.2ポイント減少はしているものも、昨年と大きく変わりはありません。
就職希望者が減少した理由として、コロナ禍における影響で飲食、アパレル、観光業界など一部の職種では求人数が大幅減となったことが考えられます。
また、就職内定率は高水準を維持しましたが、希望した就職が叶わないと考え、進学を選択した高校生も一定数いることが就職者減につながった一因とも考えられます。

出典:文部科学省 令和3年3月高等学校卒業予定者の就職内定状況に関する調査について

■ 高校新卒者 就職割合の推移
  • 男性 女性
    平成7 25.6 27.9 23.4
    平成8 24.3 26.7 21.9
    平成9 23.5 25.7 21.3
    平成10 22.7 25.0 20.5
    平成11 20.2 22.4 18.1
    平成12 18.6 20.7 16.5
    平成13 18.4 20.5 16.4
    平成14 17.1 19.1 15.1
    平成15 16.6 18.5 14.7
    平成16 16.9 19.1 14.7
    平成17 17.4 19.8 14.9
    平成18 18.0 20.5 15.4
    平成19 18.5 21.2 15.8
  • 男性 女性
    平成20 19.0 21.8 16.1
    平成21 18.2 21.1 15.2
    平成22 15.8 18.4 13.1
    平成23 16.3 19.4 13.3
    平成24 16.8 20.0 13.6
    平成25 17.0 20.3 13.6
    平成26 17.5 21.1 13.9
    平成27 17.8 21.5 14.1
    平成28 17.9 21.7 14.1
    平成29 17.8 21.5 14.0
    平成30 17.6 21.3 13.9
    平成31 17.7 21.5 13.8
    令和2 17.4 21.2 13.5

文部科学省「令和2年度 学校基本調査」 ※各年3月卒業者のうち、就職者(就職進学者を含む)の占める割合です。

高校新卒者に占める就職者割合は、長期的に減少傾向で推移しており、とくに平成22年は世界的な金融危機の影響などにより
15.8%と大きく下降し、23年以降は増加に転じました。(表「高校新卒者 就職割合の推移」)
また令和2年3月の末就職率は98.1%と、ここ数年、高水準を維持しています。厚生労働省の資料においても、令和2年3月末の高校卒業者に対する求人倍率は2.89倍と、ここ数年上昇傾向を継続しています。求人数は約48万4千人で前年比約1.5%増加しています。
(表「高校新卒者 ハローワーク求人にかかわる求人倍率・就職内定率の推移」)

■ 高校新卒者 ハローワーク求人にかかわる求人倍率・就職内定率の推移(3月末現在)

こちらの表は横にスクロールできます。

2021年卒 高校生新卒採用調査

■ 新型コロナウィルス感染症拡大が高卒採用計画に及ぼす影響

高校生の採用を行う企業を対象に、新型コロナウィルス感染症拡大が高校生の採用活動にどのような影響を及ぼすかについて調査を実施した結果です。
不安定な社会情勢の中でも、多くの企業が高校生の採用に意欲を示している現状が見受けられます。
調査概要:期間2020年4月20日~5月14日 調査方法:インターネット・FAXによるアンケート 有効回答107社

  • ■ 2021年3月卒、高校新卒者採用実施は?

    95%の企業が採用活動を実施予定。新型コロナの影響による採用中止は3%。多くの企業が高卒採用に前向きな傾向。

  • ■ 高校新卒者採用人数の増減は?

    昨年と同様または増やす企業が8割以上
     

  • ■ 職場見学についての対応は?

    約半数の企業が、「マスク着用」、「体温・体調確認」などの条件付きで実施予定

  • ■ 採用活動や業界説明におけるオンライン面談を希望するか?

    オンライン面談に使用可能なツールとしては、Zoomが最も多く、次いでSkypeが続いている。

高等学校卒業者の主な種職業分類別就職者の比率

資料:文部科学省「令和元年度学校基本調査報告書」

  • 男子

  • 女子

高校新卒者の職種別構成を見ると、男子は「生産工程」の職種に就職する人が49.4%を占め、女子は「サービス職」「生産工程」「事務」がそれぞれ約4分の1となっています。女子の就職は、以前は事務職が最も多く、半数を占めていましたが、IT機器の普及などによる事務作業の効率化が進んだことで、求人が減少しています。
また、近年は景気低迷による企業の採用縮小、アルバイトやパート、派遣、中途社員採用などによる多様化した企業の採用形態、大卒求人の拡大などといった構造的な要因により、高校新卒者の希望職種への採用は厳しい状況になっています。

高校生が会社を選ぶ基準は? 会社が高校生に期待することは?

高校生が会社を選ぶ基準は、実は例年あまり変わりはありません。
重視されるのは「仕事が面白そうか」「自分の力が活かせる場所か」「職場の雰囲気」「会社の将来性や安定性」「給与や福利厚生」「社会貢献度」などがあげられます。

では採用する側の企業は、志願する高校生のどんなところを見ているのでしょうか。
事業や業務によって会社が求職者に求める技術や能力は異なりますが、多くの会社が共通して必要とする資質や能力があります。
下図の調査は学校教育において生徒に身につけて欲しい資質や能力を会社に尋ねたものですが、半数以上の会社が
【人格】においては「対人コミュニケーション」「ストレス耐性」「基本生活習慣や社会人としてのマナー教育」「自立心の養成」を期待しています。
【教育】においては「基礎学力の養成」「一般教養」となっています。 以上のことから、採用に際して会社は意思疎通のためのコミュニケーション能力や挨拶や時間などを守るといった基本的な生活態度を身に付けた人、物事に粘り強く取り組む人、そして基礎能力と自分で考える力を持つ人を求めていると言えます。

■ 入社した会社を選んだ理由は?(複数回答)

こちらの表は横にスクロールできます。

※上位9つの項目と抽出 資料:東京商工会議所「2019年度 中堅・中小企業の新入社員意識調査」

■ 高校新卒を雇用する企業が学校に期待すること*(複数回答)
  • 人格
    1 対人コミュニケーション能力の育成 86.0%
    2 ストレス耐性(折れない心・粘り強さ) 68.9%
    3 基本的生活習慣や社会人としてのマナー教育 65.8%
    4 自立心の育成 61.7%
    5 職業教育・職業観の育成 13.5%
  • 教育
    1 基礎教育の育成 92.3%
    2 一般教養教育 75.8%
    3 理論的思考能力や問題解決能力の育成 60.3%
    4 語学教育 44.3%
    5 ディベートやプレゼンテーション能力の訓練 17.5%

*「中学校・高校」の教育に期待することとして回答 資料:経済同友会「企業の採用と教育に関するアンケート調査」〈2016年調査〉

なぜ仕事を辞めるのか?「早期離職」を考える

高卒採用の内定率は高い数値で推移していますが、3年以内に離職する割合が28.7%と大卒22.8%に比べて5.9ポイント高く、早期離職が課題となっています。
それではなぜ仕事を辞めるのか、初めて正社員として勤務した会社を辞めた理由を見てみると以下のようになっています。

男性 女性
1位 労働時間・休日・休暇の条件 結婚・出産の為
2位 賃金の条件が良くなかった 肉体的・精神的に健康を損ねた
3位 キャリアアップ 労働時間・休日・休暇の条件
4位 肉体的・精神的に健康を損ねた 人間関係が良くなかった
5位 人間関係が良くなかった 賃金の条件が良くなかった
男性
1位 労働時間・休日・休暇の条件
2位 賃金の条件が良くなかった
3位 キャリアアップ
4位 肉体的・精神的に健康を損ねた
5位 人間関係が良くなかった
女性
1位 結婚・出産の為
2位 肉体的・精神的に健康を損ねた
3位 労働時間・休日・休暇の条件
4位 人間関係が良くなかった
5位 賃金の条件が良くなかった
■ 自己都合離職をした人の理由

こちらの表は横にスクロールできます。

(3つまでの複数回答 単位:%)

区分 満足のいく
仕事内容
でなかった
から
能力・実績が
正当に評価
されない
から
賃金が低
かったから
労働条件
(賃金以外)が
よくなかった
から
人間関係が
うまくいか
なかったから
雇用が
不安定だった
ため
会社の将来に
不安を感じ
たから
結婚・出産・
育児・介護
のため
介護・看護
のため
病気・怪我
のため
他によい
仕事があった
から
いろいろな
会社で経験を
積みたいから
家族の転職・
転居のため
その他
19歳以下 100 69.7 31.9 59.9 31.0 38.1 7.2 0.8 0.8
20〜24歳 28.6 4.7 31.9 33.2 27.2 11.6 14.7 2.0 0.5 2.5 14.7 16.6 0.2 18.2
25〜29歳 26.9 12.9 27.3 30.9 14.0 12.4 28.6 9.0 0.4 3.8 17.3 16.9 3.5 12.6
30〜34歳 25.0 20.2 30.1 27.0 13.6 11.4 24.4 13.6 0.8 3.9 17.9 14.9 4.6 16.2
35〜39歳 24.6 15.6 21.7 30.4 13.4 13.1 32.5 5.3 1.3 4.3 13.8 13.4 7.5 14.2
40〜44歳 28.6 18.5 27.0 27.9 17.8 9.0 25.3 8.2 0.9 6.6 14.4 8.2 2.8 13.3
45〜49歳 32.1 20.5 15.1 20.5 26.1 10.8 22.4 3.0 5.3 6.5 14.6 6.8 4.7 21.1
50〜54歳 23.8 15.9 21.3 27.4 23.8 7.5 19.7 0.8 7.9 5.9 10.9 7.3 3.3 16.2
55〜59歳 26.4 19.3 18.3 20.1 15.4 7.5 24.4 1.6 9.8 4.7 10.8 3.2 1.5 17.0
60〜64歳 19.1 14.0 21.7 16.0 17.2 11.1 8.3 0.3 6.0 6.5 10.0 6.8 8.9 19.4
65歳以上 22.0 9.1 20.5 1.8 15.0 10.3 4.1 4.1 11.1 16.5 15.9 1.2 33.2

※自己都合退職とは「労働者が自分の意思で退職を決定する」こと。一般的には解雇や倒産などによる失職は含まない。 資料:厚生労働省「平成27年転職者実態調査結果の概況」

19歳以下の離職者が「満足のいく仕事内容ではなかった」という項目で全世代の中で数値が69.7ポイントと最も高くなっています。言い換えれば若年層ほど「満足がいく仕事に就ける」可能性が低く、その要因として「社会経験のなさ」や「選べる職業分野の少なさ」が関係しているとも考えられます。

■ 入職後3ヶ月間に経験した職場でのコミュニケーション

こちらの表は横にスクロールできます。

太字は離職者と勤続者の差が、5ポイント以上のもの(単位:%)

男子 女子
高校卒 専修・短大・
高等専
大学・大学院卒 全体 高校卒 専修・短大・
高等専
大学・大学院卒 全体
離職者 勤続者 離職者 勤続者 離職者 勤続者 離職者 勤続者 離職者 勤続者 離職者 勤続者 離職者 勤続者 離職者 勤続者
会社の人が、あなたに
実務を実際に行う中で仕事を
教えてくれた
76.9 76.4 70.8 80.0 74.8 76.7 74.7 77.0 84.2 84.5 86.4 84.3 83.0 83.9 84.2 84.1
会社の人が、あなたを、
会社内の他の事務所・部署の
従業員に紹介してくれた
37.8 41.5 34.0 45.7 38.6 44.3 37.9 44.1 40.5 47.5 38.9 40.4 47.4 47.4 43.4 46.1
会社の人が、あなたを、
顧客や取引先の
人紹介してくれた
20.3 20.3 23.6 25.1 27.2 27.0 25.7 26.1 19.5 23.0 25.3 13.5 29.3 27.4 25.7 23.8
会社の人が、あなたに、
歓迎会を開いてくれた
38.5 49.1 49.1 54.3 59.1 62.9 54.7 60.5 48.9 57.5 58.4 58.4 70.6 68.3 61.7 64.1
a あなたが会社の人に、
自分が希望する仕事の内容や
働き方について伝えた
14.0 13.7 17.9 17.7 15.1 16.5 15.2 16.3 14.1 9.0 13.0 10.7 16.7 16.6 15.0 13.9
b あなたが、会社の人に
自分の働きぶりについて
意見や感想を求めた
15.4 12.7 12.3 12.0 12.9 11.0 13.2 11.3 10.3 11.0 11.7 4.5 11.0 10.2 11.0 9.3
c 分からないことがあった時に、
あなたの方から会社の人に
相談した
39.2 39.2 41.5 43.4 45.0 40.5 43.2 40.7 57.5 55.0 59.9 44.9 59.1 52.1 58.9 51.3
いずれも当てはまらない 12.6 9.9 9.4 8.6 10.1 8.5 10.4 8.7 7.2 4.5 6.0 7.3 4.6 4.7 5.7 5.1

※資料:独立法人 労働制作研究・研修機構2017年2月発表「若年者の離職状況と離職後のキャリア形成」(若年者の能力開発と職場への定着に関する調査)

また実際に入職後3カ月で経験した職場でのコミュニケーションを見てみると、離職者が感じた理想と現実の差が顕著に表れています。
高卒者は他の学歴者に比べて「歓迎会を開いてくれた」等、会社からの「受入れ」を強く感じられるコミュニケーションの割合が高い傾向にあります。
しかし、就業者から働きかけたコミュニケーション経験(a.b.c)は、20%に満たない項目が大半で「受け身」の傾向が伺えます。
またわからないことを自分から相談する傾向は、全体的に女性の方が高く、男性は女性よりも低く、とくに高校卒の就業者が一番低くなっています。
採用する会社も良いコミュニケーションの取り方を考えることが早期離職の防止につながるかもしれません。