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高卒採用

知っておくべき高卒採用のルール

高校生と大学生 就職活動の違い

高校生は未成年であることから法的な責任能力がないうえ、ルールの設定されない無秩序な状況で就職活動が行われれば、本業である高校生活の支障が生じかねないため、独特の採用ルールが存在します。
近年では高校新卒予定者を採用する企業が増えていますが、ルールがわからずに採用を行う企業も多いのが現状です。
ルールを正しく理解して、優秀な人材を確保しましょう。

■ 高卒採用のルール
  • 企業情報は原則として高校を経由して得る
  • 高校生は企業と直接連絡を取ることはできず、高校教諭から紹介を受ける形で情報を得る
  • 9月5日から1人1社の応募・推薦となるが、10月1日以降の2次募集では、複数社の応募・推薦が可能となる
  • 求人票は例年7月1日に公開される(それより前に高校生が当該年度の具体的な採用情報を知ることはできない)
  • 企業はハローワークに求人票を提出し、法令違反や記入不備などがないかどうか確認を受けて「受理番号」を得なければ、
    高校に求人票を送る(持参する・郵送する)ことはできない。
  • 就職試験の申込は「高校から企業への推薦」により行われる(解禁日9月5日~、沖縄は8月30日~)
  • 第1回の就職試験は全国で9月16日以降に統一され、原則として「1人1社制」となっている
    (当該地域の求人数など、就職に明らかに不利になる場合があるため、地域によって10月以降は3社まで推薦・応募可能など取り決めをしている場合がある。)
■ 就職活動の違い

こちらの表は横にスクロールできます。

項目 高校生 大学生
就職活動スタート時期 求人票の公開は
卒業学年の7月1日
以降に全企業統一
大学3年生の
終わりごろから
就職活動の流れ 求人票確認後、
企業に見学に行った後、
高校の先生に試験を受ける
ための推薦をしてもらう
インターネット上からエントリーし、
会社説明会に参加後、
採用試験を直接企業に申し込む
採用試験の内容 基本的には調査書の評価と面接
での印象が中心となるが、
企業によっては適性検査や一般常識などの
テストを実施する場合もある。
試験は1回が一般的。
書類選考が行われ、次に筆記試験、
集団面接、個人面接など、
多くの段階に分かれて選考を行う
就職活動の服装 原則として制服、またはリクルートスーツ ルールはないが、全国的に
「リクルートスーツ」
着用が一般的
採用決定のタイミング 就職試験の実施は9月16日以降と
決められている
多くの企業では10月に
内定式を行うが、それ以前でも
「内定」を受けている場合もある。

求人票の公開と基本ルール

こちらの表は横にスクロールできます。

  • 1 管轄のハローワークで開催される「学卒求人説明会」に参加して「高卒求人登録用紙」を受け取る
  • 2 企業が管轄のハローワークに求人票を提出(求人票の受付は6月1日~)
  • 3 ハローワークが求人条件に法令違反がないことなど確認し、求人票に確認印を押して企業に返却
  • 4 7/1以降、企業がハローワークの確認印のある求人票を高校に送付または持参して、高校生の推薦を依頼
  • 5 7/1以降、高校で求人票を公開
  • 6 9/5以降、学校から企業へ生徒の推薦を開始(沖縄は8/30~)
  • 7 9/16以降、就職試験
  • 8 9/16以降、採用結果の通知

上記の期日は行政により設定されています。
企業はハローワークに対して、採用選考試験結果の連絡をすることが義務付けられています。

企業の採用スケジュール

6月1日|
ハローワークでの求人票を受付開始
7月1日|
求人票を学校に提出。学校を訪問して推薦を依頼
9月5日|
学校から企業へ応募書類の提出開始(沖縄は8月30日)
9月16日|
採用選考・採用結果の通知

1人1社制とは?

新規高等学校卒業者の採用選考時における応募・推薦方法は、従来、1人の生徒が、ある会社の募集に応募した場合、その選考結果が決まらない限り他の会社の求人に応募できない、という制度です。 この応募・推薦方法は、企業が、その採用計画に基づいて高等学校からの推薦により円滑、かつ、短期間に採用選考を行うことができるという利点がありました。
近年の高校生の就職活動を取り巻く環境の変化などを踏まえ、一部の県では、1次募集から複数応募できるなどの地域の実状に合せた対応が行われ始めています。
内定辞退が発生しない、内定を得やすい、学業への支障が少ないなど多くのメリットもありますが、早期離職につながっている可能性などの課題もあり、現在、各検討会議でも多くの議論がされており、今後の動向に注視が必要です。

1人1社制のまとめ

  • 複数企業への併願は禁止(1人1社しか応募できないルール)
  • 内定承諾後、内定の辞退は原則できない。(内定通達後に齟齬が見つかった場合、やむを得ない状況下につき就労が難しい場合など)

公正な採用選考

公正な採用選考にあたって必ず守らなくてはいけないルールがあります。

■ 基本的な考え方

【採用選考に当たって】
・応募者の基本的人権を尊重すること
・応募者の適性・能力のみを基準として行うこと。
【公正な採用選考を行う基本】
・応募者に広く門戸を開くこと・本人のもつ適性・能力以外のことを採用の条件にしないこと

■ 面接で配慮するべきこと

以下のような適性と能力に関係がない事を面接で尋ねて把握することは、就職差別につながるおそれがあります。

【本人に責任のない事項の把握】
・本籍、出生地に関すること
・家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)
・住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)
・生活環境、家庭環境などに関すること
【本来自由であるべき事項】
・宗教に関すること
・支持政党に関すること
・人生観、生活信条に関すること
・尊敬する人物に関すること
・思想に関すること
・労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること
・購読新聞、雑誌、愛読書などに関すること
【採用選考の方法】
・身元調査などの実施 (注:「現住所の略図」は生活環境などを把握したり身元調査につながる可能性があります)
・合理的、客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施

■ 応募書類に関して

新規高卒者は「全国高等学校統一応募書類」を用いることとされています。事業主が独自に応募用紙やエントリーシート(インターネット上の応募入力画面)の項目・様式を設定する場合は、適性と能力に関係のない事項を含めないこと。

■ その他

障害者、難病のある方、LGBT等性的マイノリティの方(性的指向及び性自認に基づく差別)など特定の人を排除しないことが必要です。

出典:厚生労働省「公正な採用選考の基本」